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「最近、愛犬が耳をよく掻いている」「頭をブルブル振ることが増えた」「耳から嫌なにおいがする」――こうした変化は、外耳炎のサインかもしれません。外耳炎は犬に非常に多く見られる病気で、一生のうちに一度は経験する犬も多いとされています。老犬になると免疫力の低下やホルモン変化により外耳炎を繰り返しやすくなり、放置すると中耳炎・内耳炎へと悪化することもあります。この記事では、犬の外耳炎の原因・症状・治療、そして自宅でできる予防ケアのポイントを解説します。
外耳炎とはどんな病気か
外耳炎は、耳の入口から鼓膜までの「外耳道」に炎症が起きている状態です。犬の外耳道はL字型に曲がっているため、通気性が悪く湿気や汚れが溜まりやすい構造をしています。これが細菌・真菌(マラセチアなど)の繁殖しやすい環境を生み出し、外耳炎が起こりやすくなっています。
なりやすい犬種
外耳炎はすべての犬種で起こりますが、特に次のような特徴を持つ犬種でリスクが高くなります。
- 垂れ耳の犬種(コッカースパニエル・ダックスフンド・ゴールデンレトリーバー・バセットハウンドなど):耳が垂れているため耳道内が蒸れやすい
- 耳道内の毛が多い犬種(トイプードル・テリア類など):毛が通気を妨げる
- 耳道が狭く皮脂分泌が多い犬種(シーズー・コッカースパニエルなど):細菌が繁殖しやすい
老犬が外耳炎になりやすい理由
老犬になると、加齢による免疫力の低下・皮脂分泌の変化・アレルギー体質の悪化・ホルモン疾患(甲状腺機能低下症・クッシング症候群など)が重なり、外耳炎を繰り返しやすくなります。また、耳道内の腫瘍やポリープが外耳炎の原因になる場合もあるため、老犬で繰り返す外耳炎は一度しっかり原因を調べてもらうことが重要です。
外耳炎の主な原因
- 細菌・真菌の過剰増殖(ブドウ球菌・マラセチアなど):最も多い原因
- アレルギー性皮膚炎・食物アレルギー:外耳炎のおよそ半数に関与するとの報告がある
- 耳ダニ(ミミヒゼンダニ):黒い耳垢・強いかゆみが特徴
- 異物(草の種など)が耳に入る
- 不適切な耳掃除(耳垢を奥に押し込む・傷つける)
- ホルモン疾患・脂漏症
- 耳道内の腫瘍・ポリープ
気をつけたい症状・サイン
次のような様子が見られたら外耳炎の可能性があります。早めに動物病院を受診しましょう。
- 耳を前足でよく掻く、または地面や壁に耳をこすりつける
- 頭をブルブルと頻繁に振る
- 耳から独特のにおい(甘酸っぱい・蒸れたような・生臭いにおいなど)がする
- 耳の中が赤い、腫れている
- 耳垢が増えた・色が黒や濃い茶色に変わった・ドロドロしている
- 触れると痛がる・頭を傾けている
- 耳の付け根や耳介(耳の外側)が赤くなっている
正常な耳垢の目安は「においがなく、量がわずかで、うすい黄褐色または茶色」です。においが強い・量が多い・色が濃い場合は、受診のサインと考えましょう。
放置するとどうなるか
外耳炎を放置したり自己判断で治療を中断したりすると、炎症が中耳・内耳へと広がって「中耳炎・内耳炎」に発展する可能性があります。中耳炎・内耳炎になると、首を傾けたまま歩く(斜頸)・ふらつき・嘔吐などの神経症状が現れることがあります。また、重度の外耳炎を繰り返すと耳道の壁が厚くなって耳道が狭まり、最終的には手術が必要になるケースもあります。さらに、強いかゆみから耳を激しく掻くことで「耳血腫(耳介に血が溜まった状態)」を起こすこともあります。
治療の基本
外耳炎の治療は、まず原因(細菌・真菌・ダニ・アレルギーなど)を正確に特定することが大切です。自己判断で市販の耳垢取りや薬を使っても、原因に合っていなければ改善しないだけでなく悪化させるリスクがあります。動物病院では耳鏡検査と耳垢の顕微鏡検査によって原因を確認し、外耳道の洗浄・点耳薬(抗生剤・抗真菌薬・ステロイドなどを組み合わせたもの)による治療が行われます。アレルギーが根本原因の場合はアレルギーの管理も並行して行う必要があります。
自宅での耳ケアのポイント
正しい耳掃除の方法と頻度
耳掃除は「やらなさすぎ」も「やりすぎ」もNGです。健康な耳であれば月1回程度、市販のイヤークリーナーを耳に数滴垂らして耳の付け根を揉み、コットンで拭き取る方法が基本です。綿棒で奥まで拭こうとすると耳垢を奥に押し込んだり耳道を傷つけるリスクがあるため、綿棒は耳の穴の外側を拭く程度にとどめましょう。外耳炎が疑われる場合は、自己判断でのケアは避け、まず動物病院を受診してください。
シャンプー・水浴び後に耳の水分を拭き取る
耳の中に水が入ると湿度が上がって細菌・真菌が繁殖しやすくなります。シャンプー後は耳の入口をコットンで優しく拭き取り、乾かすようにしましょう。
定期的に耳の状態を確認する
月に1回程度、耳をめくってにおい・耳垢の量・色・赤みがないかチェックする習慣をつけましょう。外耳炎は早期発見・早期治療ほど短期間で改善しやすい病気です。
まとめ
外耳炎は老犬に多く、繰り返しやすい耳のトラブルです。耳を掻く・頭を振る・においがするといったサインを見逃さずに早めに動物病院を受診することが大切です。自己判断での治療は悪化の原因になるため、かかりつけの獣医師の指示に従い正しいケアを続けましょう。月1回程度の耳の状態チェックと適切な耳掃除が、外耳炎の予防につながります。

