本記事にはPR・広告が含まれます
「最近、愛犬が散歩でいつもより早く疲れてしまう」「なんとなく元気がない」「歯ぐきの色がいつもより白っぽい気がする」――こうした変化が老犬に見られたとき、貧血が隠れている可能性があります。貧血は血液中の赤血球が減少することで全身への酸素供給が低下する状態で、老犬ではさまざまな病気がきっかけで起こります。進行すると命に関わることもある怖い病気ですが、歯ぐきの色をチェックするだけでも早期発見の手がかりになります。この記事では、老犬の貧血の原因・症状・歯ぐきによるセルフチェックの方法・治療について解説します。
犬の貧血とはどんな状態か
貧血とは、血液中の赤血球の数やヘモグロビン(赤血球の中で酸素を運ぶタンパク質)の量が減少し、全身の組織への酸素供給が不足した状態のことです。犬の赤血球の寿命は約100日とされており、通常は古い赤血球が壊されると同時に新しい赤血球が骨髄でつくられ、一定の量が保たれています。この生産と消費のバランスが崩れると貧血が起こります。
老犬が貧血になりやすい理由
老犬はさまざまな理由から貧血になりやすくなります。慢性腎臓病では、腎臓が赤血球の産生を促すホルモン(エリスロポエチン)の分泌量が低下するため、貧血が起こりやすくなります。また、慢性の炎症・感染症・腫瘍・肝臓病・ホルモン疾患なども貧血の原因になります。免疫力の低下により感染症や自己免疫疾患のリスクも高まります。
貧血の主な種類と原因
出血による貧血
体内外からの出血によって赤血球が失われる貧血です。外傷による外出血だけでなく、胃や腸からの内出血(腫瘍・潰瘍・異物)、脾臓の腫瘍破裂なども原因になります。黒いタール状の便(消化管出血のサイン)が見られる場合は要注意です。
溶血性貧血(赤血球が壊される)
赤血球が通常より早いペースで破壊されることで起こる貧血です。自己の免疫が赤血球を攻撃する「免疫介在性溶血性貧血(IMHA)」は特に進行が速く、早期治療が重要です。その他、タマネギ中毒・マダニが媒介するバベシア症なども溶血性貧血の原因になります。溶血が起きているとき、おしっこが赤茶色〜オレンジ色になることがあります。
赤血球がつくれない貧血(非再生性貧血)
骨髄の機能低下・慢性腎臓病によるホルモン不足・慢性疾患に伴う骨髄抑制などによって、新しい赤血球が十分に産生されないために起こります。老犬に多い慢性疾患由来の貧血はこのタイプが多く見られます。
気づきやすい症状
貧血は初期には症状が出にくく、進行してから気づくケースが多い病気です。次のような変化に注意しましょう。
- 元気がない・以前より疲れやすくなった
- 散歩の途中でよく座り込む・運動を嫌がる
- 食欲が落ちた
- 呼吸が荒くなる・息切れをしやすくなった
- ふらつく・立てなくなる
- 歯ぐきや舌・白目の色が白っぽい・黄色っぽい(黄疸)
- おしっこが赤茶色・オレンジ色になっている
- 便が黒いタール状になっている
歯ぐきのセルフチェック方法
貧血の早期発見に最も手軽で役立つのが「歯ぐきの色チェック」です。健康な犬の歯ぐきは、ピンク色で湿り気があります。次のように確認してみましょう。
- 上の唇を軽くめくり、歯ぐきの色を確認する
- ピンク色が薄くなっている・白っぽくなっている場合は貧血のサインの可能性がある
- 黄色っぽくなっている場合は黄疸が起きている可能性がある
- 歯ぐきを指で2〜3秒押して離したとき、2秒以内に元のピンク色に戻れば正常(毛細血管再充満時間)。戻りが遅い場合は循環不全・貧血が疑われる
「なんとなく白っぽい気がする」と感じたら、迷わず動物病院を受診しましょう。シニア期に入ったら、月に1〜2回は歯ぐきの色をチェックする習慣をつけると、異変の早期発見につながります。
すぐに受診すべき緊急サイン
次のような症状が見られる場合は、様子を見ずに早急に動物病院へ連れて行きましょう。
- 歯ぐきが著しく白い・または黄色い
- ぐったりして動けない・呼吸が荒くなっている
- 急に倒れた・失神した
- おしっこが真っ赤・赤茶色になっている
- 便が黒いタール状になっている
特に溶血性貧血は数日で急速に悪化することがあり、治療のスタートが1日遅れることで回復が大きく左右されます。「様子を見よう」と思わず、すぐに受診してください。
診断と治療
貧血の診断には血液検査(ヘマトクリット値・赤血球数・ヘモグロビン値・網状赤血球の確認)が基本となります。貧血の種類(再生性か非再生性か)を調べることで、治療方針が大きく変わります。追加で超音波検査・レントゲン・血液塗抹検査・骨髄検査なども行われることがあります。治療は原因によって異なります。出血が原因なら出血を止める・免疫介在性なら免疫抑制剤を使う・慢性腎臓病由来なら腎臓の治療と並行して行うなど、それぞれの原因に合った対応が必要です。重度の貧血では輸血が必要になることがあります。
自宅でできる予防の心がけ
- シニア期に入ったら定期的な血液検査で早期発見を心がける
- 月に1〜2回、歯ぐきの色を自宅でチェックする習慣をつける
- ネギ類・タマネギ・ラッキョウなどを絶対に食べさせない
- ノミ・マダニの定期予防を続ける(バベシア症予防)
- 体重の急激な変化・食欲低下・元気の低下を放置しない
まとめ
老犬の貧血は、慢性腎臓病・腫瘍・自己免疫疾患・感染症など、さまざまな病気を背景に起こります。歯ぐきの色が白っぽくなる・疲れやすくなるなどのサインを見逃さず、気になることがあれば早めに動物病院を受診しましょう。シニア期に入ったら定期的な血液検査を受け、自宅でも定期的に歯ぐきの色をチェックする習慣をつけることが、早期発見・早期治療への大切な一歩です。

