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「愛犬が安静にしているのに息が荒い」「呼吸するたびにゼーゼーと音がする」「口を開けたまま苦しそうに呼吸している」――老犬の呼吸に異常を感じた飼い主さんは、どう判断すればいいか迷うことがあると思います。犬の呼吸困難は、暑さや加齢による一時的なものから、心臓病・肺炎・肺水腫など命に関わる病気まで、原因が幅広く、治療の遅れが生死を分けることもある症状です。この記事では、正常な呼吸と異常な呼吸の見分け方、老犬の呼吸困難を引き起こす主な原因、緊急性が高いサイン、自宅でできる対処について解説します。
正常な呼吸と異常な呼吸の見分け方
犬の正常な安静時の呼吸回数は1分間に10〜35回とされています。暑さや運動直後、興奮時にはパンティング(ハアハアと浅く速い口呼吸)が見られますが、これは体温調節のための正常な生理反応です。一方、次のような状態は異常な呼吸のサインです。
- 安静にしているのに呼吸が速い・回数が多い(1分間に40回以上が目安)
- 呼吸するたびにゼーゼー・ヒューヒューと異音がする
- お腹が大きく激しく上下している(お腹を使った努力呼吸)
- 口をずっと開けて呼吸している(安静時に口呼吸が続く)
- 首を伸ばして上を向きながら呼吸している
- 舌・歯ぐき・唇が白っぽい・紫色・青紫色になっている(チアノーゼ)
- 座ったまま眠れない・横になれない(重篤なサイン)
普段から安静時の呼吸回数を記録しておくと、変化に気づきやすくなります。老犬では安静時30秒間の呼吸回数を測り、2倍した数値を毎日記録する習慣が呼吸器・心臓疾患の早期発見に役立ちます。
老犬の呼吸困難の主な原因
病気以外の原因(一時的なもの)
次のような原因であれば、対処することで回復する可能性があります。
- 暑さ・熱中症:涼しい場所に移動させ、体を冷やす
- 運動・興奮後:安静にして落ち着かせる
- ストレス・不安:原因となる刺激から遠ざける
- 加齢による心肺機能の低下:少しの運動でも息切れしやすくなる。安静にすれば落ち着く
ただし、原因を取り除いても呼吸が回復しない・改善が見られない場合は、病気が隠れている可能性があります。
病気が原因のもの
安静時でも続く呼吸困難は、次のような病気が原因として考えられます。
心臓病(僧帽弁閉鎖不全症・肺水腫)
老犬の呼吸困難で最も多い原因のひとつです。心臓の弁がうまく働かなくなり、血液が逆流することで肺に水がたまる「肺水腫」を起こすと、溺れているような状態になり呼吸が非常に苦しくなります。咳・疲れやすさ・夜中の呼吸異常などのサインが先に出ることが多いため、こうした変化があれば早めに受診しましょう。
肺炎・気管支炎
細菌・ウイルス・誤嚥などが原因で肺や気管支に炎症が起きると、呼吸困難につながります。発熱・咳・鼻水を伴うことがあります。
気管虚脱
気管が扁平につぶれることで空気の通り道が狭くなる病気で、ガチョウの鳴き声のような「ガーガー」という独特の咳が特徴です。チワワ・トイプードル・ポメラニアンなどの小型犬に多く見られます。
胸水・腹水の貯留
心臓病・腫瘍・肝臓病などが原因で胸腔や腹腔に液体がたまると、肺が圧迫されて呼吸が苦しくなります。お腹が膨らんでいる場合は腹水を疑いましょう。
貧血
赤血球が減少して全身への酸素供給が不足すると、酸素を補おうとして呼吸が速くなります。歯ぐきの色が白っぽい場合は貧血のサインです。
腫瘍(肺腫瘍・縦隔腫瘍など)
肺や胸腔内に腫瘍ができると、物理的に気道や肺を圧迫して呼吸困難につながることがあります。
異物の誤飲
のどや気管に異物が詰まると突然の呼吸困難が起こります。認知症の老犬では誤飲リスクが高まります。
すぐに受診すべき緊急サイン
次の状態が見られる場合は一刻を争います。すぐに動物病院に連絡して向かいましょう。
- 舌・歯ぐき・唇が紫色・青白くなっている(チアノーゼ)
- 口をずっと開けたまま苦しそうに呼吸している
- 首を伸ばして上を向きながら必死に呼吸している
- 座ったまま眠れない・横になれない
- 急に呼吸が速くなり、1〜2分たっても回復しない
- ぐったりしている・意識がもうろうとしている
移動中は愛犬を安静に保ち、できるだけ体を動かさないようにしましょう。窓を開けて換気を確保し、落ち着いた声で声をかけながら急いで受診してください。
自宅でできる対処と予防
- 安静時の呼吸回数を毎日記録して変化に気づく習慣をつける
- 室温・湿度を適切に管理し、暑さ・寒さのストレスを減らす
- タバコの煙・ほこり・強い香りなど、呼吸器への刺激を避ける
- 体重管理を続ける(肥満は呼吸器・心臓への負担を増やす)
- 呼吸困難が起きたときは横向きではなくうつぶせで楽な姿勢をとらせる(横向き・仰向けは肺が圧迫されやすい)
- シニア期に入ったら心臓・肺の状態を確認する定期健診を年2回受ける
まとめ
老犬の呼吸困難は、暑さや加齢による一時的なものから、心臓病・肺炎・肺水腫・貧血・腫瘍など命に関わる病気まで原因が幅広い症状です。安静時でも呼吸が速い・ゼーゼー音がする・舌が紫になるなどの異常なサインが見られたら自己判断で様子を見ず、すぐに動物病院を受診してください。日頃から安静時の呼吸回数を記録し、定期的な心臓・肺の検診を受けることが早期発見につながります。

