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未去勢の老犬に多い前立腺肥大|排尿・排便困難のサインと去勢手術による治療・予防

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「最近、オス犬がトイレに何度も行くのに少ししか出ない」「うんちが細くなった・なかなか出なくなった」「おしっこやうんちのときに長時間いきんでいる」――こうした変化が未去勢のシニアオス犬に見られたとき、前立腺肥大が疑われます。前立腺肥大は未去勢の老犬に非常に多い病気で、放置すると排尿ができなくなり命に関わる事態に発展することもあります。一方、去勢手術によって予防・改善できる病気でもあります。この記事では、前立腺肥大の原因・症状・治療・去勢との関係について解説します。

目次

前立腺とはどんな臓器か

前立腺はオス犬の膀胱の根元にある臓器で、精液の一部となる前立腺液を分泌する役割を持ちます。尿道のすぐ周囲に位置するため、前立腺が大きくなると尿道や直腸を圧迫し、排尿・排便にさまざまな障害が起こります。

前立腺肥大の原因

前立腺肥大の主な原因は、精巣から分泌される男性ホルモン(アンドロジェン)の影響です。加齢とともに男性ホルモンのバランスが変化し、前立腺の細胞が異常増殖して肥大していきます。去勢していない6歳以上の雄犬で発症しやすく、8〜10歳以上では特に多く見られます。去勢手術を受けた犬では前立腺が縮小するため、前立腺肥大はほとんど起こりません。

人間の前立腺肥大との違い

人間の前立腺肥大は排尿障害が主な症状ですが、犬では前立腺が直腸の近くに位置しているため、排便障害(便秘・細い便・排便困難)の方が目立つ傾向があります。排尿・排便どちらにも問題が出るという点も犬の特徴です。

主な症状

前立腺肥大は初期には症状が出にくく、進行するにつれて次のような変化が現れます。

排泄の異常

  • 排尿の回数が増えたが、1回の量が少ない(頻尿・少尿)
  • 排尿姿勢を長くとるが、なかなか出ない
  • おしっこに血が混じる(血尿)
  • おしっこが全く出ない(尿道が完全に閉塞した場合。緊急事態!)
  • 便が細くなった・平べったくなった
  • 排便姿勢を長くとるが、なかなか出ない(しぶり)
  • 便秘が続くようになった
  • 排便時に痛そうな様子がある

その他の症状

  • 後ろ足がふらつく・歩き方がぎこちなくなった
  • 食欲の低下・元気がなくなった(二次的な体調不良)
  • 尿道からの分泌物(おしっこではない、透明〜薄ピンク色の液体)が出る

放置すると危険!合併症のリスク

前立腺肥大を放置すると、さまざまな重篤な合併症につながることがあります。

  • 前立腺炎:肥大した前立腺に細菌が感染して炎症を起こす。発熱・元気消失・食欲不振が重なることがある
  • 前立腺膿瘍:前立腺炎が悪化して膿がたまった状態。重篤になると敗血症につながることがある
  • 前立腺嚢胞:前立腺内に液体がたまった袋(嚢胞)ができる状態
  • 尿路閉塞:尿道が完全に閉塞して排尿できなくなる。48時間以内に死亡することがあるため緊急手術が必要
  • 膀胱炎・腎盂腎炎から尿毒症へ発展するリスク

特に「おしっこが全く出なくなった」「お腹が張ってぐったりしている」という状態は緊急事態です。すぐに動物病院に連絡してください。

診断の方法

動物病院では問診(去勢の有無・症状の経過)・直腸内触診(肛門から前立腺の大きさや硬さを確認)・レントゲン検査・超音波(エコー)検査などで前立腺の状態を確認します。前立腺炎・前立腺腫瘍との鑑別が必要な場合は、さらに詳細な検査が行われることがあります。

治療の基本

去勢手術(最も効果的な治療法)

前立腺肥大の根本的な治療は去勢手術(精巣摘出手術)です。男性ホルモンの産生が止まることで、前立腺は術後1〜3ヶ月程度で約半分程度まで縮小します。老犬であっても、全身状態が良ければ去勢手術は可能です。排尿が困難な状態では、まず尿道カテーテルで排尿のサポートをしながら、手術できる状態に整えてから去勢を行うこともあります。

内科治療(ホルモン療法)

麻酔リスクが高いなど手術が難しい場合は、男性ホルモンの分泌を抑える薬物療法によって前立腺を縮小させる方法もあります。ただし効果は一時的なものが多く、長期的な管理には限界がある場合があります。

合併症への対処

前立腺炎・膿瘍がある場合は抗生物質の投与や外科的処置が必要になります。重篤な状態では入院治療が必要なこともあります。

去勢手術は「予防」にもなる

未去勢の老犬を飼っている飼い主さんにとって、「老犬になってから去勢手術を受けさせる意味があるのか」という疑問を持つ方も多いと思います。前立腺肥大を発症していない段階での去勢手術は、前立腺肥大だけでなく、会陰ヘルニア・精巣腫瘍・肛門周囲腺腫など、他の男性ホルモン関連疾患の予防にもなります。シニア期を迎えた未去勢の雄犬をお持ちの場合は、かかりつけの獣医師に去勢手術のタイミングや必要性について相談してみましょう。

まとめ

前立腺肥大は未去勢の老犬に非常に多く見られる病気で、排尿困難・便秘・血尿などの症状が現れます。放置すると尿路閉塞や前立腺炎・膿瘍など命に関わる合併症に発展するリスクがあります。おしっこが全く出ない・ぐったりしているなどの緊急サインが見られたら、すぐに動物病院を受診してください。治療の基本は去勢手術で、老犬でも全身状態が良ければ受けることができます。未去勢のシニア雄犬をお持ちの飼い主さんは、かかりつけの獣医師と相談しながら適切なタイミングでの対応を検討しましょう。

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