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「最近うちの子の咳が増えた気がする」「散歩中にすぐ疲れるようになった」
こうした変化を「歳のせいだろう」と見過ごしてしまうのは危険です。小型犬の老齢期に最も多い病気のひとつが、僧帽弁閉鎖不全症(心臓病)です。早期に発見して適切に管理することで、愛犬との時間を大きく延ばせる可能性があります。
僧帽弁閉鎖不全症とは
心臓の左心房と左心室の間にある「僧帽弁」という弁が加齢によって変性し、正常に閉じなくなる病気です。弁が閉じなくなると血液が逆流し、心臓に負担がかかり続けます。進行すると心臓が肥大し、最終的には肺水腫(肺に水がたまる状態)を引き起こして呼吸困難に至ります。
犬の心臓病の約75%を占めるとも言われており、特に小型犬の8歳以上で発症リスクが高まります。チワワ・プードル・マルチーズ・ダックスフンド・シーズーなどが好発犬種として知られています。
早期発見のための症状チェック
初期はほとんど症状が出ないため、定期検診での心雑音の発見が早期発見の鍵になります。以下の症状が見られたら動物病院を受診してください。
初期〜中期に見られる症状
- なかなか治らない乾いた咳が続く
- 散歩中にすぐ疲れる・休みたがる
- 以前より元気がなくなった
- 興奮したときや運動後に咳が出る
重症化のサイン(すぐに受診が必要)
- 安静時の呼吸数が1分間に30回を超える
- 口を開けて呼吸している
- 舌や歯茎が青白い・紫色になっている
- 突然倒れる・失神する
- お腹が膨らんでいる
特に「安静時の呼吸数」は自宅で毎日確認できる重要な指標です。1分間に30回を超えていたら翌朝を待たず夜間救急を受診してください。
病気のステージと治療方針
僧帽弁閉鎖不全症は米国獣医内科学会(ACVIM)のガイドラインによってA〜Dの5段階にステージ分類されています。
ステージA・B1:心雑音はあるが症状なし
この段階では投薬は不要ですが、6ヶ月に1回の定期検診と心臓に優しい食事管理が重要です。塩分を控えた食事、適度な運動、ストレスを避けることが基本的なケアになります。
ステージB2:心拡大が認められる
心臓が大きくなり始めたら投薬開始の目安です。ピモベハート(強心薬)などの投与が始まります。月に1〜2回の受診が必要になる場合があります。
ステージC・D:日常生活での症状あり
複数の薬を組み合わせて症状をコントロールします。利尿剤・血管拡張剤・強心薬などが処方されます。激しい運動は避け、できるだけ安静を保つことが重要です。
自宅でできる日常ケア
安静時呼吸数の記録
愛犬が完全にリラックスして横になっているときの呼吸数を1分間数えて記録しましょう。正常値は1分間に15〜30回程度です。毎日同じ時間帯に測定することで変化に気づきやすくなります。
塩分を控えた食事
塩分の多い食事は心臓に負担をかけます。人間の食べ物・加工品のおやつは与えないようにしましょう。獣医師と相談の上、心臓病用の療法食への切り替えを検討してください。
適度な運動管理
心臓病だからといって完全に運動をやめる必要はありません。ただし、激しい運動や興奮は心臓に負担をかけます。短時間のゆっくりした散歩を基本にしてください。
ストレス・気温の変化に注意
急激な気温変化や過度なストレスは心臓に悪影響を与えます。夏の暑い時間帯の外出は避け、室温管理をしっかり行ってください。
ペット保険との関係
心臓病の治療は長期にわたり、毎月の投薬費用だけで1〜3万円かかることも珍しくありません。心臓病と診断された後では保険に入れなくなる場合がほとんどです。愛犬がまだ若く健康なうちにペット保険の加入を検討することを強くおすすめします。
まとめ
僧帽弁閉鎖不全症は小型犬の老齢期に非常に多い病気ですが、早期発見と適切な管理によって進行を大幅に遅らせることができます。7歳を過ぎたら半年に1回の心臓の定期検診を必ず受けてください。
「最近咳が増えた」「疲れやすくなった」という変化を見逃さないことが、愛犬の命を守ることにつながります。気になる症状があれば、迷わずかかりつけの獣医師に相談してください。